2011年12月20日火曜日

ユーロ一考 Part 2


    経済先進国の輸出増加
ギリシャやポルトガルといったもはや昔はすごかったけど、今は多少調子が悪くなってしまった国のベネフィットもある一方で、ドイツをはじめとした経済先進国にもベネフィットがありました。それは輸出の増加です。なぜなら、ユーロ導入後はそれ以前に比べて通貨価値は割安になったので(表現が適切ではないですが、マルク安になったということ)、ドイツ企業の輸出はうなぎ上りに伸びました。リーマンショック以降、先進国はマイナス経済成長率が多い中で、ドイツは23%といった安定した成長率を誇っています(僕自身は、その事実がメルケルの長期政権の一因なのかなと邪推したりしていますが….

*ご存じのように、イギリスはユーロに参加していませんが、ある意味賢くソロバンを弾いたといえるでしょう。というのは、イギリスはそのGDPの多くが銀行業によるもので、製造業が占める割合が大きくなく、ユーロ加入による輸出増加という恩恵が少ない一方でその負担(安定化基金への支出やユーロに入ることによる金融政策の制約)を背負う必要がないですから。ポンドへのプライドや大陸文化に対する島国文化の反抗というところが予期せぬ幸福を招いたやもしれませぬが。

    基軸通貨としての地位確立
 ただ単純にユーロの通貨量が増えたことや①②③のメリットのおかげで域内経済が活発化した結果、世界経済におけるユーロの地位は高まりました(「地位」というのは、政治的パワーみたいなものです)このおかげで国際社会におけるヨーロッパの政治的発言力は増しました。
*お気づきではあると思いますが、これは非常に曖昧なベネフィットです。というのはまだまだ健在のドルや急成長の元、なぜか安心できる通貨である円(苦笑)がいる中でユーロのプレゼンスはどこまであるのか分からないのと、政治的発言力によってどのような効果があるのかは未知数だからです。一流の海外ディベーターなんかはさらっとそれっぽい単語を使ってそれっぽく見せてしまうようなポイントではありますが、そこらへん自信がない日本人ディベーターは、①②③をもってどれだけユーロが圏内にメリットもたらしたかを分かりやすく説明して、さらっとユーロのプレゼンスがあがってユーロの政治的発言力が上がりますとかいえば、cleverだと思います。
以上が、ユーロのメリットです。欧州行政局(?)というところのデータによればユーロ導入後の1500万人ほどの雇用創出効果があったそうです(ちょっとデータの出どころが怪しいので絶対にディベートで使わないでくださいね)

さて次は、ギリシャの財政問題です(ちょっと疲れたので、休憩します笑)

石渡慧一 
国際基督教大学卒業、東京大学公共政策大学院修士1年。2009年度ICUDS部長。Australs 2009 ESLブレイク、 All-Asian 2008 EFLブレイク(なお、この年の北東アジア参加者の中で1位)、NEAO 2009 EFL ブレイク、NEAO 2010 ジャッジブレイク

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